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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「真実」34話

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あの明け方の出来事から サクラと過ごす時間は 僕にとってかけがえのない時間で 絶対に失いたくないもの......
だから......僕は......不安でも 前へ進む勇気がほしくて......

全てを知るために......僕は絶対に あの男に会って 話をしなければならなかった......

東條さんに 頼んで 男に会うことに......緊張と不安のせいか 握る手のひらに 嫌な汗が滲む
通された部屋に 窓の外を眺める 男の後ろ姿が......
ゆっくりと振り替える その男の顔は...

初めて会った時のような 複雑な感情や怒りは 全くなく
ただただ 込み上げる思いが 先走り 何故か 言葉が出せず 立ち尽くしてしまった。

男の瞳は 優しく 勝手に 涙が零れ落ちた。

ゆっくりと 僕に歩み寄り 優しい 大きな手で 僕の頭を ポンポンと 優しく叩く
東條さんは 何も言わず その男に頭を下げて 部屋を後にした。

残された二人の 無言の時間が流れ 僕の落ち着くのを 何も言わず 待ってくれた。

どれだけの時間が 過ぎたのか......分からないけど その男の見つめる瞳に 優しく包まれ 僕は やっと口を開く事ができた......

「あなたの名前を 聞いてもいいですか?」

ゆっくりと頷き 優しい声で
板谷トオルです。」
と答えた。