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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「会いたくて」24話

もしかしたら この街やこの生活が 最後になるかもしれない......それでも 覚悟を決めて
迎えにきた 東條さんと 研究所へ向かった。

車の中
無言の静けさが 事の重さを 知らせていた...僕は サクラの事だけで 頭がいっぱいで サクラに会うまでは この動揺は 休まる事はなかった......

高速道路を下りて 何れくらいたっただろう
気がついたら 車は山道を 走らせていた。
薄暗い外灯が 僕の心情と重なり 不安がこみ上げる......
ようやく たどり着い時には 日が落ちていた。
車が止まった先に 建物が一棟建っている。
外から見える 建物の いくつもの窓から 照明の光がもれていた。

東條さんに 連れられ 建物の中へ入ると ロビーのような所に サクラの病室で見た 男が 待っていた。
頭の中で こいつが サクラをここに 連れて来たんだと この時 気づき 苛立ちを覚えた。

その男を先頭に サクラのいる場所へと向かう 長い通路は 幾つかの扉が立ち塞がり そこを通り抜ける度に 男はカードキーをスキャンさせた。
厳重なセキュリティの中に 僕はいるのだと
そして、サクラも.....
そう思うと 息苦しさで 喉が詰まり 蒸せかえってしまう程だった。

厳重なセキュリティをぬけ
ある部屋の扉の前で 男の足が止まり 扉横の機械に数字を打ち込み 扉のロックを解除させた。
まるで 監禁されてるかのように......

扉は 自動ドアの様に開き 部屋の中へ
部屋の中は 殺風景で ベッドと机だけ 置かれていた。
窓から空を眺め 椅子に座る サクラ......
振り替える事もなく ただ......空を眺めていた......
僕は ゆっくりと サクラの元へ 歩みより 膝まづいた。
サクラの顔を 見上げ 光を失ってしまったような サクラの瞳を見つめ
「サクラ 一人にして.....ごめん......会いたかった......ずっと サクラに......会いたかった。」
と、告げた。
サクラの体が 一瞬ビクッと動き ゆっくりと目を下ろした。
僕の顔を見つめながら サクラの瞳は ゆっくりと光を得た。
そして、僕の肩に触れ 溢れる思いで 強く握る服が 小刻みに揺れ 必死で溢れる涙を 堪える サクラの姿に 僕は サクラを強く抱きしめる事しかできなかった......