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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「遺言」出会い 27話

回想
「おーい!矢上!お前に面会だぞ!」
慌ただし中 俺を呼ぶ声さえ 消し去り気力の欠片さえもなくなり ただデスクの前で俺は 生気を失ったまま 顔をデスクの上にのせていた......

そんな状態の俺の肩を 誰かが優しく......言葉にするなら おばあちゃんが俺の背中をポンポンと優しく慰めるそんな感じだった......
振り返ると 全てに悟り 人を包むかのような 眼差しで 声のトーンも心地よく
「初めまして 柏木倫明と言います。私で宜しければ 矢上さんのお話をお聞きしたくて 参りました。」
それは丁寧で そして 優しく微笑む顔も 俺にとっては 仏のようで 何故か 涙が溢れて
不思議なくらい 溢れでる涙に どうしようもない感情が込み上げ やり場のなくなった感情が...... 一気に...
大の男が 声を出して泣き崩れたよ
それを おばあちゃんのあの優しい手のように 俺の背中をポンポンと......

矢上さんは 胸に詰まるような 言葉を僕たちに語った......
僕は......父さんが どんな顔だったのかも 思い出せない自分に これが後悔だと 思い知らされた......
いつから 父さんを見ようしなくなったのか...... そして......最後に見たのは 父さんが死んだ顔だった......
それも......素っ気なく 終わらせてしまったまま......

回想
柏木さんが 俺に会いに来たのは 三田村と子供の あの事故の話だった。
俺が あの時 死んだ子供の 家族の思いを少しでも 受け止めていたなら もっと三田村を 真意を突き止める事ができたんじゃないかと......三田村の目の奥の 何かに怯え 何もできない自分と 死んだ子供の家族を 俺は壊してしまった罪が 重く......そんな話を 何時間も 柏木さんは 言葉を挟むわけでもなく ずっと聞いてくれた。
そんな柏木さんに どんだけ救われたか......
そして 柏木さんが 俺に言ったのは
「矢上さんは......ずっと後悔してたんですね......その気持ちがあれば あなたは大丈夫です。」
俺を見て 優しく包むように 微笑む柏木さんに 俺はまた泣けた......

きっと誰かに 聞いてほしくて 言ってもらいたい言葉を 言ってくれ.....俺は救われた......