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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「手紙」45話

応接室のソファーで 向き合う僕らは 最初に発する 言葉を探すのに 時が流れていた。

長い長い 数分間を 無言のまま 過ぎてゆき 始めに言葉を 発したのは...サクラだった。
何かを 確かめるように ゆっくりと 言葉にしながら

「あの......お名前を 伺っても よろしいですか?」
僕は その問いに すぐさま
「きり...桐谷 トオルです。」
と、答えた。
僕の名前を聞いた サクラは また、ポロポロと 大粒の涙を 溢しながら
「こんな......こんな事って......あるんですね......」
そう言うと 鞄の中から 封筒を取り出し
ガラステーブルの上に そっと 差し出した。
「これを.....何も聞かずに 目を通してください。」

僕は 封筒を手に取り 封筒の中から 便箋を取り出し広げた......その便箋は 手紙だった......
(手紙)
これから出会う二人へ
僕の 名前は桐谷トオルです。
この手紙を 読んでるって事は もうすぐ 二人は 出会えるんだね......

僕の話を信じるかは 君たち次第だから

僕の住んでる 街に ある日 隕石が落ちた......その時 できた 時空の歪みのせいか 僕は 過去へと 導かれ サクラと離ればなれになってしまったんだ。

僕が 導かれた過去では サクラと僕が
まだ 出会う前で
なんとか 元の世界へ戻りたくて いろんな方法を試し 失敗し 永遠のループのように あの日の隕石の 悲劇を繰り返してた......信じられないと思うかもしれないけど......それは 現実で 長い日々だったよ。

そして、何度目かに ようやく その世界の サクラと僕に 未來を引き継ぐ事ができたんだ。

その世界の僕と 過去からきた僕が 出会い伝える事ができたんだ。

もし僕も 君たちも この出来事を忘れたら......そう考えて この手紙を 残すよ。
それから 忘れてしまう前に......僕に伝えたい事がある。

僕は あの日 元の世界に 戻れたよ。
ありがとう......もし 君が 僕のように 時空を越えたとしても サクラときっと出会えるから......信じて あきらめるな。

そして、サクラ
桐谷トオル......僕は 過去も未來も......どんな時も
サクラを愛してます。

桐谷トオル

この手紙は あの時の 過去の僕が書いた手紙だった......

(よかった......戻れたんだね)
僕は 嬉しくて 込み上げる 熱いものを グッと堪えた。
この時 喉の奥が 痛くて......