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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「個展」37話

Steven Robert バンクシー ポスター Banksy Graffiti Canvas アートパネル アートフレーム モダン インナー フレーム装飾画 キャンバス絵画 アートボード 部屋飾り 壁の絵 壁掛け ソファの背景絵画 木枠セット(40*50cm)

僕は 何度も繰り返した過去で 学び 繰り返される過去なら 今までやらなかった事を この世界でやってやろうと思った。 それが未來を 変えるカギになるなら......僕はなんだって やってやる。 だから...... この過去で 僕がいた証じゃないけど 何か残したくて まずは 絵を描き始めた。

サクラと見た 代わり行く景色や サクラと見た満開の桜 あの頃を思い 僕は描き続けた...... 何枚も何枚も......描き続け この過去に暮らす ほんの僅かでもいいから 僕の存在を 知ってほしくて 個展を開いた......ここで 何かが 始まれば それでいい......

カフェの一角を借りて そこに数点 額に入れた絵を 壁に飾らしてもらえる事に カフェのオーナーは 僕の絵をとても気に入ってくれて 個展を開くために 店の一角を提供してくれた。 それに 好意で 宣伝用のポスターを お店の入口近くに 貼ってくれたり お店に来てくれた 常連さんにも 声をかけてくれた。

期間は 一週間 僕の絵が飾られ 僕は 一週間 カフェに通い どんな人が僕の絵を見てくれるか そっと見ていた。

個展の最終日に 僕は 時間を作り オーナーに お礼の和菓子を買いにカフェを出ようと入口の扉に手をかけると同時くらいに......勢いよく 人が入ってきて ぶつかりそうになるのを 上手く避け 頭を軽く下げて カフェを出た。 僕が 向かったのは 商店街 前々から オーナーは 栗きんとんが 好きだと言ってた事を 思い浮かべ 商店街の老舗の和菓子やで 栗きんとんを 包んでもらう事にした。

紙袋に入った 栗きんとんを 片手にカフェに戻り オーナーに お礼と 紙袋の中から 包んでもらった 栗きんとんを渡した。 オーナーは 優しい笑顔で 喜んでくれ 僕は 感謝しかなかった。

オーナーは 奥から ケーキとミルクたっぷりの カフェオーレを カウンター席におき 目でどうぞと 言ってくれ 僕も目で ありがとうと答えた。

暫し オーナーと談笑しながら ケーキを味わい オーナーは 栗きんとんを 美味しそうに 口に運んだ。 すると、思い出したのか 「そう言えば 君とすれ違いで入ってきた 高校生くらいの 男の子が 君の絵を見せて欲しいって 凄い勢いで やってきて 君の絵を見てたよ。 それで 一点づつ ゆっくりと見て あの桜の絵を見て 泣いてたんだよ。私は びっくりして どうしたのか 聞いたら 何だか 分からないけど 胸がぐっとくる感じで 勝手に涙が......すみませんって言って帰ったけど 私も 君の絵を見ると なんだか こう切なくて あの男の子と 多分 同じ気持ちなんだろうね。」

そう言って 優しく笑った。

過去の僕の 話を聞きながら 僕は あの時見た絵は 過去の僕が描いた絵だったと知った。 そして、その絵が 僕を変え 美大を諦めた理由だった。 あの時の 僕は 初めて 描いた人の心が絵に見え そんな 絵は僕は 一生描けないと 悟った日だった。