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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「届けたい思い」8話

穏やかな風と共に 舞うように踊る 桃色の小さな花びらたち
僕はゆっくりと止まる 車椅子の向きを変え
車輪のロックをかけた......

太陽に当たらない肌は 陶器のように白く 頬についた 花びらは まるで頬紅のようだった。
満開の桜の前で 車椅子に座るサクラの横で
「サクラに見せたかったんだ......すごくキレイだね......来年も一緒に見よう」

その時 風のいたずらなのか 突風が サクラの麦わら帽子を さらっていった......

僕は 慌てて 転がり回る 麦わら帽子を 追いかけて サクラから離れた......
川の手前で 無事 救助でき 離れたサクラに
「サクラー !やばかったよ......危うく川に流されるとこだった......ふぅー...よかった!」

そう言いながら サクラの元へ
そっと サクラに麦わら帽子を 被せ
「よし!」
と、サクラの顔を 覗くと......
僕の目から 涙が大量に 溢れだした......
「サクラ......サクラ......」
壊れそうな思いが 溢れでて 止まらなかった。
「ごめ......んな......こんなに 弱くて......ごめん」
サクラの膝に 顔をうずめ 時を戻せるなら
あの時......に......戻りたいと 願った。

いつか サクラと一緒に 四季を感じ たわいもない話をして 二人で笑いながら 歩きたい......
この思いが届くなら 僕は何でもするから......