crossorigin="anonymous">/script>

小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「遺言」目的32話

陽子さんを 事務所に残し 僕と矢上さんで あの日 父さんが辿った 道筋を 昨日 道筋をしるした地図を持って 矢上さんの 白いワゴン車に乗り込んだ。

外は 春なのに 朝晩まだ肌寒く
今日は 特に冬に戻ってしまったと錯覚するくらいの 冷え込みで 冬用の上着を羽織っていた。
暖房のせいか 暑く息苦しく 上着を直ぐに脱ぐ羽目に......
時間は 7時を回り 車の通りも だんだんと増え 気がつくと 出勤ラッシュになっていた......みんな せかせかと時間に追われて 心の状態が 車の運転にでて......それが いつの間にか 連鎖している 僕は そんな状況を 車の窓越しで ただ見ているだけで 深いため息が...自然とこぼれていた.....

ふと、矢上さんが
「ため息一つで 幸せが一つなくなるって 誰か言ってたな......直ぐそこに
コンビニがあるから 腹になんかいれるか?」
そう話ながら 交差点の角にある コンビニへ ハンドルを切り返す

僕たちは 父さんが通った 道筋を走らせて来ているが もしかしたら 父さんも コンビニに寄ったかもと 頭を過りワゴン車を降りた。

僕は 朝のコンビニは 好きじゃない。
そもそも 人があわただしくしている様が 好きじゃない
温かいカフェオーレを買い ワゴン車に逃げるように戻った......一人 助手席で待っていると 運転席のドアが開き
矢上さんが乗り込むやいなや 僕の膝の上に サンドイッチを ポンと置き
「腹に入れとけ...食えるときに食わないとな」
そんな事を言って エンジンをかけた
矢上さんは きっと僕に気を使ってくれているんだな......申し訳なくて
「すみません......いただきます。」
そう答え サンドイッチの袋を外し サンドイッチを口に入れた。

僕たちは 父さんが 何時間もいたと思われる その場所へ向かって 走っていた......車で一時間位だろうか 矢上さんも僕も その場所には 行った事がなく
この道のりも どことなく緊張感が漂い 会話と言う会話も 忘れてしまっていた......