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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「遺言」無音 30話

陽子さんのお陰で またこの現実世界に戻る事ができた......そして
やるべき事をやる 覚悟もできた...
だから 僕は......このボイスレコーダーの スイッチを押し 耳を傾け......聞く事に 全神経を集中させた......
「......」
僕は この状況に 笑いが込み上げ 大声で笑った......
笑って 笑って 笑って 胸の奥の奥から 込み上げる 強烈な感情が 涙を流させる......陽子さんの不安そうな顔が
顔を覆う手の指の隙間から滲んで見え
僕は
「なんなんだろう......父さんは......何を残したかったんだ......ぼ......ぼくが...これを聞くまでに......どんなに.....心が......何も...聞こえない......聞こえないんだよ...これ 笑えるだろう?
聞こえてこないんだよ......」
ボイスレコーダーを握る手が震えて
止まらない......
震える僕の手を 温かな優しい手で そっと包む
陽子さんは 何も言わず ただ優しく 手を包んでくれて......僕は その優しさに 寄りかかり甘えた......

それから 時が流れ 一時間 二時間と陽子さんは 僕の側にずっといてくれたお陰で 僕は冷静な判断が できるように心が回復していった......そして
父さんが 何も入ってない ボイスレコーダーを 矢上さんに渡す訳がない
そう思い 握ったボイスレコーダーを......床へ 叩きつけた。