crossorigin="anonymous">/script>

小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説 「遺言」 向かった先 23話

僕と陽子さんは タクシーを降りて このアパートの住人に 聞き込みを 開始した。

順番に インターホンを鳴らし 住人がいるのかを確めたが やはり いない......
諦めつつも 最後の インターホンを鳴らすと......
ガチャ
ドアが 開いた......出てきたのは 無精髭の男性で ボサボサ頭を掻き 苛立ちながら 僕たちを迎えた。
一瞬 言葉が詰まったが 先に進むには聞くしかないと 声をかける

「忙しいところ......すみませんが 少しいいですか......」
無愛想に 下から僕の顔覗きこみ
「誰?」
と、だけ答え チラッと 陽子さんを見ると 表情が一瞬で 変わり
「まっ、ここじゃ なんだから 中 入る」
と、態度が あからさまに変わり 僕の存在は 眼中になく その眼差しは 陽子さんだけに 向けられ 僕は 陽子さんの後ろを ガキのように 拗ねて玄関を通る

玄関を入ると すぐ横は 小さなキッチンルームで その奥が 六畳くらいの 部屋になっていた......
殺風景な部屋の真ん中に テーブルが一つ主張し その上には 原稿用紙が散乱し
畳の上には 書き損じの 原稿用紙が丸められ あちこちに 散乱状態だった。

もしや こいつは 物書きなのか......
そんな事を 思いながら 僕と陽子さんは 何処に座ればいいのかを 探していた。
男性は その状態を見かねたのか
「まっ、その辺に座れば」
と、僕と陽子さんに 委ね テーブルの上の原稿用紙を両手で 畳の上に 無造作に放り投げ
「それで 何が聞きたいの?」
僕の顔見るわけでもなく それは陽子さんに 聞いていた......こいつ......
僕を無視しやがる こいつに 感情の行き場なく ただ苛立つ 僕の肩を 陽子さんは 軽く二回ポンポンと叩く
それは、言葉にはしないが まぁまぁと言う合図だろう......

僕は 冷静になるために 父さんだったら こんな事じゃ きっと動じないだろうと思い 冷静を取り戻した。

そして、僕から話を 切り出した。

「前 ここに住んでいた 矢上真一さんをご存知ですか?」

すると、一瞬だったが 男性の瞳孔が開いたと思ったら いきなり 大声で男性は笑い出し......数秒後 真顔で

「これから 行くとこがあるけど 着いてくるか?」
と、思わぬ展開に 僕と陽子さんは 驚き言葉が出ないまま 男性の向かう所へと 行くことに......

男性の車で 揺られる事 1時間くらいか
たどり着い先は......病院だった......
僕も陽子さんも まだこの先が読めず 男性の向かうまま 足を運んだ。

男性が 向かった先は 少し他の病棟とは違い 案内する看護師も 扉を開ける毎にカギを使い 必ず扉にカギをかけていた......ここは......精神科病棟???
たまに奇声が聞こえ 初めてのせいか 踏み出す足は重く 少し恐怖を感じる自分がいた......
そして......ようやく ある病室の前で 足が止まる
ドアのカギを 看護師が開け 僕たちは中へ......
そして......言葉を失った......
ここは 刑務所の中なのか......ドアの向こうに 更に鉄格子が......鉄格子の向こうにベッドが......そこに人が......座って......何も言わずに 僕たちを 見ていた......
僕は...この光景が 一生 頭の中に 焼きつき続けるのを感じた......