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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説「誘惑」14話

中井さんは ホテルに泊まってるらしく 僕は タクシーを呼び
泊まっている ホテルまで 送る事に......他の同級生たちは 沢井を含め 二次会へ 向かった。
残された僕は 中井さんの腕を 僕の肩に回し 支えながら タクシーを待つ
15分後 タクシーが到着
中井さんを タクシーの中へ 押し込むように乗せ その横に僕も乗り込んだ。
沢井から聞いた ホテルの名前を 運転手に告げ 一先ず 背中を座席のシートに 預け楽な体勢を確保した。

タクシーが動き出した瞬間 酔っ払ってたはずの 中井さんが 急に起き上がり
「ふぅ~......やっと発進したわね」
突然、起き上がり どう見ても 酔っている感じのしない 中井さんに
「えっ?!......中井さん......大丈夫なの?」
問いかけた。
「大丈夫よ!私 酒豪だから!」
にっこり微笑んで 僕を見ながら 答える 中井さんに 僕は唖然としてしまい 言葉が見つからなかった。
「あっ!今 なんで酔っ払ったふりをしたんだって 思ったでしょう。
クス(笑)ごめんなさいね......私 板谷くんの事 好きだったでしょ......同窓会に出席したのも板谷くんが 出席するって沢井が教えてくれたから 板谷くん......どんな感じになってるかなって そしたら......あの時のまま 変わらなくて 二人でもっと 話したくて 酔っ払ったフリをしちゃった クス(笑)怒った?」
中井さんって こんなにストレートに言う人だったかな......それとも......僕を からかってるのか......
「ごめん......店でも話したけど 好きな人がいるんだ......それに...酔っ払ったフリするの...好きじゃないんだ。」
少しキツイ口調で 答えた。
そして、僕は タクシーの運転手に ここで降りる事を告げ 降りようとしたら 急に腕を掴まれ
「ごめん......あやまるから......ホテルの前まで 送ってほしい......ごめんなさい。」
申し訳なさそうな顔に 仕方なく 降りるのをやめて ホテルの前まで 送る事にした。

ホテルの前までの間 車内は 妙な空気が流れ
僕も中井さんも 無言の状態で お互いが窓から流れる景色を 目で追っていた。
30分後 ホテルの前に到着
タクシーを降り 中井さんが降りるのを待ち
タクシーに 乗り込もうとした時
中井さんが
「ホテルのロビーまでで いいから見送ってほしい」
一瞬迷ったけど タクシーを待たせ ロビーまで見送る事に......
ロビーに着くと
「ありがとう......」
そう言って 僕に手を振る 中井さん
僕は 頭を軽く下げ 帰ろうと 後ろを向くと
背中に軽い 衝撃と共に 腰から手が......
中井さんの 細い腕が 僕の腰に巻きつき 抱きしめられた......
震える声で
「ごめんなさい.....怒ったまま......帰せないよ......」
僕は ゆっくりと 腰に回された 手を優しくほどき
「もう......怒ってないから......大丈夫だから」
と、答えた。
この後 中井さんの顔を 見る事ができず 僕は逃げるように ロビーを後にした。


中井さんに 少し申し訳なかったかなと...言う気持ちもあるけど......あの大胆な行動に 正直......怖く 中井さんの顔が見れなかった。

僕の中で 同窓会に出席したことを 少し後悔した一日だった。