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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説 新作 読み切り版 「メモリー」

(この物語は 一匹の子犬が この世に転生した理由を知っていく お話です。)

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クーン クーン クーン
(あれ?ここは どこだ?俺は......)
自分の姿を見た俺は 脳天から足の先に一気に電流が流れたやような 衝撃を受け 気を失いかけた。

そんな 俺の横に デッカイ毛むくじゃらの化け物が 俺の顔を 舌でなめ回していた。
(こっこいつ 俺を食うのか?)
逃げようと 必死に手足を動かしたが 少しでも 離れると また手で 引き寄せられ 上手く逃げる事ができない。

だんだん体力も 奪われ 疲れのせいか 眠気に襲われ 意識が遠く......自然とまぶたが閉じていた。

気がつくと 化け物は まだ俺の横に......
(腹へったな~動いて体力がなくなったせいか 腹が減って死にそうだ。)

俺は 何処かに 食うものがないか クンクンと匂いを嗅いでたら 何処からか 甘いミルクの香りが 俺の鼻の中へ流れ込んできた。

匂いをたどり その匂いの先に たどり着き その突起物から 流れ出る ミルクを飲んだ。
(うまっ!マジ これ うま!)
ミルクの旨さに 我を忘れ ゴクゴクと飲み続け 気がつくと また寝てしまっていた......

それからの 俺は 数週間 その繰り返しで 気がつくと 化け物と 一緒に生活をしていた。
(まっ、よく知らねぇけど なんか この化け物 俺の世話を したいらしいから させてやってもいいぜ)

そんな感じで 化け物を家来に してやった。

まっなんやかんや言って 化け物との暮らしは 悪くなかったし 俺自信 だいぶ動けるようになってきたから 嫌になったら いつでも 逃げる事ができると 考えてた。

だが......何故か 毎日が楽しくて 逃げる事も もう忘れていて それに この化け物の言葉が だんだん 分かるようになっていた。

俺の遠い記憶の中では 俺は人間だったはずが 今は 俺の身体中に毛が生え 化け物は 俺も同じで......だけど この化け物は 俺を 我が子だと......言う

俺には 母親の記憶も 父親の記憶もない。だから、わかんねぇけど
この化け物は 優しくて 温かかった......

雨で濡れた 俺の身体や ケガをした足を 舐めて癒してくれたり
母親の記憶はなかったが 母親はこんな感じなのかと なんだか 嬉しくて......ずっと この化け物と 一緒にいたかった。

そんな ある日

俺と化け物の暮らす 山の中に 人間の匂いが 流れ込んできた。
それも かなりの数の匂いが 入り交じり 化け物も俺も 危険を感じ なるべく その匂いから 遠ざかるように 動いてた。

そんな時だった。
もの凄い勢いで 同じ化け物が現れ
俺たちの前に 立ち塞がり 俺たちを威嚇してきた。
ウ~~ウ~~ウ~~ ワンワンワン
(お前 ここで 何やってんだ!ここは 俺様の縄張りだ!失せろ!)

俺は その勢いに 圧され 後退りしてしまったが 俺の母親だと言う 化け物は
俺を守りながら 相手に負けずと威嚇をした。

ウ~~ウ~~ ワンワンワン!
(私は、昔から ここで暮らしてる。失せるのは あなたよ!)

その瞬間
相手の化け物が いきなり 俺の母親だと言う化け物に 飛びかかり 喉へ噛みつきやがった。

キャン キャーン
(キャー)
もの凄い 悲鳴が上がり
取っ組み合いが 始まり
俺は 怖くて怖くて どうしようもできなく
ワンワン ワンワン ワンワン
(頼む やめてくれ お願いします)
と、オロオロするしかできず 情けない姿だった。
やがて 俺の母親だと言う 化け物は 動けなくなり 横たわった状態で 俺の方を見つめていた。

化け物は 嘲笑うように 去っていき
急いで 俺の母親だと言う 化け物まで俺は 走った。
喉から流れる血は 痛々しく 俺は泣きながら 舐めた。
早く 血が 止まるように 必死に舐めた。
クーンクーンクーン
(大丈夫か 死ぬなよ!俺が助けるから)

暫くすると 俺の目を ジーっと見つめる瞳は やがて光を失い ゆっくりと 閉じていった......

クーンクーンクーン
(俺は......ひとりぼっちに なるの嫌だよ。ねぇ 目を開けてくれよ......
俺と一緒に いてくれよ......なぁ 俺の母親だろ...かぁ...かぁさん なぁ......嫌だよー!
かぁさーん!かぁさーん!おれ......ずっと 一緒にいたかったんだよ......母さんと ごめんなさい!ごめんなさい!母さん 守れなくて ごめんなさい!死なないで......神様 どうか 母さんを助けてください。俺は もう悪い事 絶対にしないから どうか 母さんを助けて ください。)

俺は 母さんを助けたく 無我夢中で我を忘れ 叫んだ。

(その時 バァキューン
銃声が鳴り響き 母犬の側で 横たわる 一匹の子犬がいました。
猟師の放った 銃の玉が 母犬の前ですがるように 泣いていた 一匹の子犬を撃ち抜いていたのでした。)


(100年後
母犬は 人間の女性に転生し 幸せな結婚をしました。
そして、その後 妊娠し 生まれてきた 我が子は あの時母犬の側で 泣き叫んでいた子犬が 人間の男の子として転生したのでした。)

天界では 子犬のメモリーは 消去されました。

おしまい