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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説 32話 「狭間」

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何時間も 山を登り やっと頂上へ......皆ヘトヘトになりながらも 登りきった達成感で 表情は満ち 眩しい程の笑顔で溢れています。
頂上は 山の麓から 吹き上がる風が とても心地よく流れていました。

「みんなー!おにぎり食べようか」
マリアの一声で 皆 大喜びで
「ヤッター!」
と、叫んで
竹の皮で包んだ おにぎりを出し 大きなお口を開けて パクパクと美味しそうに 食べ始めました。

皆 輪になって 楽しそうに おしゃべりしながら 食べる光景
セドにとっては 初めての経験
新鮮な驚きと......それ以上に 心が弾み
気がつくと セドも一緒になって 笑っていました。

楽しい時間は あっという間に過ぎてゆき 山を降りる時間に......
村の子供たちは はしゃぎ過ぎたせいか
帰りは 静かになり 女の子の方は マリアに おんぶされていました。

山道は 凸凹で 降りる時は 少々不安定だった......女の子をおんぶしてる マリアにとっては 尚 不安定で 足元がおぼつかない状態
次の瞬間
マリアの足に 木のつるが絡まり 体勢を崩して 転びそうに......
すると マリアの胸元に セドの腕が絡みあい マリアと女の子を 支えました。

マリアは フーッと息を吐くと
「ありがとう」
と、セドに
すると セドは マリアがおんぶしてた女の子の 両脇を手で掬い上げると
そのまま 抱き抱え 歩き始めました。

マリアは そんなセドに 優しく微笑み何も言わず 隣を歩いた。

村につく頃には 辺りは薄い 茜色に染まり 子供たちは 大きく手を振り 家へ帰りました。
それを見届け マリアはセドに
「ありがとう」
と、伝え 優しく笑いかけた。

セドは 感情の狭間で 戸惑いの表情を隠せず どう答えていいのか 分からず
何も答えなかった。