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小石川弥生のブログ小説

ブログで小説 絵本、イラストを書いています。

ブログ小説 31話「育む」

セドは マリアと 生活をするようになって 天界にはない 美味しい食べ物を知りました。
しかし、セドにはまだ マリアが天界に行きたがらない 理由が納得できません。

そんな、 ある日の事
村の子供たちが マリアの住む山へ 遊びに来ました。

子供たちは 畑で作業をする マリアとセドに 気がつくと 大きく手を振り
「マリアさーん!セド!」
と、嬉しそうに 走りだし
二人の所に 駆けてきました。

男の子二人に 女の子一人
三人は仲良しの兄妹でした。末っ子の女の子は マリアに
「ねぇ、マリアさん みんなで 山登りして 遊ぼう!」
マリアの 手を両手で握り 左右にユサユサと振りながら
目をキラキラと輝かせ マリアに おねだりをしました。

マリアは そんな女の子の 頭を優しく 手で撫でると
「よーし 皆で おにぎり作って 山登りしたら 食べようね!」
皆一斉に
「ヤッター!」
「わーい!」
「作る!」
と、嬉しさのあまり ピョンピョンと跳び跳ねて 喜びました。

セドも、おにぎりと聞いて 顔がほころび心の中で 子供たちのように
(食べたいです。)
と、思っていました。

早速、皆で楽しく おにぎりを握り
そのおにぎりを マリアは竹の皮に包み 竹の皮を細く裂いて 包んだおにぎりを縛り 輪っかを作って 一人一人に 渡しました。
子供たちは お互いの 顔を見合せると 満面の笑顔で 嬉しそうに 竹の皮で包んだおにぎりを 見ています。
それを見たセドは ソワソワと
「マリア 私のは?」
と、待ちきれない様子で訴え
マリアは
「はい はい」
と、子供をあやすように セドに竹の皮で包んだおにぎりを 渡しました。
それを 手に取ると 子供のように 喜び
「これは、私のですからね」
そう言って 村の子供たちに 自慢げに見せました。
子供たちは そんなセドの姿に
「セドなんか マリアさんの 子供もみたい。」
そう言って 笑いました。
セドは 恥ずかしさのあまり
「にんげん......」
と、言いかけ また、マリアに 言葉を被せられ セドの言葉は なかったかのように マリアは
「はい!じゃ おにぎり持って 山登りに出発だよー」
と言いました。
それを聞いた 子供たちは 片手を上げ
声を揃えて
「はーい!」
元気よく 答えた。

少々 納得いかないような セドでしたが 皆と一緒に行く山登りも......嬉しいのか 顔には 笑みがありました。

いよいよ 山登りへ......
男の子二人は 先頭を歩き マリアと女の子は 手を繋ぎ その後ろをセドが......

すると、女の子は セドの方を振り返ると 左手をセドに差し出し
「セド!手を繋いで 一緒に行こう」

差し出された左手を見て セドの心に一瞬何かが......
その何かに 戸惑うセドは マリアに視線を移す......と
マリアは 優しく微笑み セドの目を見て コクりとうなずきました。

セドの足は 自然と前に進み 出された左手を そっと握り 女の子を......見た
そこには なんとも言えない 優しい笑顔がありました。

この時まだ この感情が セドを変えていく事にセド自身も気づいていませんでした。